3-2 自然界の仕組みから見た社会論

3-2 自然界の仕組みから見た社会論

自然界は、循環しているエネルギーそのものです。静止しているように見えるものもそれらは止まっているのではなく、陰と陽の相反するエネルギーがちょうどバランスがとれた状態になっているのを見ているだけで、循環が止まっているわけではありません。自然界は、善悪、右左、上下、陰陽などの相反するものが偏りはなく中庸(ニュートラル)になっています。つまり宇宙も中性と云えます。

そして、この自然界の中性にバランスのとれた状態から陰か陽のどちらかの極性に動かすことにより、元の中性に戻ろうとする働きが生まれてきます。この元に戻ろうとする動きが生み出される新たなエネルギーといえます。この中性を中心に陰陽を行ったり来たりしてエネルギーを発生する仕組みは、自然界の呼吸ともいえます。

社会システムも自然の仕組みに乗っ取って運営した場合、この様に必ず呼吸を繰り返してゆきます。呼吸ですから、陰側に傾くことも陽側に傾くこともあり、そして中庸を保つということです。今までの社会では、新しいシステムを作るときの基準は、皆「問題が発生しないシステムを作ること」「如何に合理性と完璧生をシステムに持たせるか」がテーマであったことと思います。しかし、自然界の仕組みを当てはめれば、一方に偏れば偏るほど、それに反するエネルギーが自然発生的に生まれてこなければなりません。そうなるとシステム完全性を求めて永遠に葛藤を繰り返すことになってしまいます。

ならば、自然の仕組みに沿った新しい社会のシステムを創って行く際の着眼点とは「呼吸しているシステムには必ず問題点が発生する」ということをあらかじめ必要条件として組み込み、問題解決の為の手法を柔軟に盛り込んでゆくことになります。

極論を言えば、そのシステムの内容や構造の完璧性よりも問題解決の方法の柔軟性と多様性に重きが置かれる位に思えます。自然界の呼吸と同じように社会システムも呼吸を繰り返すので、発生する問題も同じように見えても決して同じ意味はなく、常に問題解決の手法を進化させる必要があります。そのための柔軟性が何よりも鍵になるでしょう。

また、社会システム自体も突き詰めれば、それを運営する人の集合意識の現れに過ぎません。ですから、社会システムの呼吸も実際は集合意識としての人々の呼吸になります。そのシステムに発生する問題も集合意識の無意識の部分が現象化したものになります。

今までの様な「問題が発生する=悪いこと」という価値感をもったことに根本の問題があります。この様な考え方ですと呼吸は止まり、やがては、システムの死に至るのです。

次のページ