2-2 現代社会におけるお金の役割とは?

☆2-1と比べて今私達が生きている現代社会とはどういう社会であるのか?

2-2 現代社会におけるお金の役割とは?

■お金とは (お金の三大機能)
①交換の媒介物
②価値の尺度となるもの
③価値の貯蔵手段

企業はモノ・サービスを社会(個人・家庭)
 ↑↓ 現代社会は、この間にお金が媒介している
個人・家庭は企業に労働力を提供

■人の生命維持の為に必要なもの(衣食住の確保)とお金を連動させた社会である。
経済自体に支配の仕組みが隠されている。
お金は支配の道具に使われている。→ 生活をするためにはお金が必要。→ お金の為には必ず働かなければならない。→ 強制的に働かせる仕組みを作っている。現代は、お金を稼ぐことを義務化しているといえる。

■お金を生きる上での価値の中心に持ってきた社会である。
価値の基準をお金に換算し、お金によって、労働、時間、人の価値、能力を管理してきた。
お金に価値を換算することが難しい「人の感情」、「奉仕精神」、「愛情」、「思いやり」、「慈しみ」などの人のソフト面が蔑ろにされる仕組みとなっている。

このような価値観で出来上がった社会では、お金に換算することの出来る方面での能力や知識、機会を得た人が力を発揮出来る社会となる。しかし、お金に換算することの能力や知識は、人が本来持っている要素のほんのひとかけら事でしかない。つまり、見えない部分で人間の尊厳といえる多くの部分が蔑ろにされている可能性が高い。

■経済とは
システムにおいて、お金が存在し、人は生きるために仕事でお金を稼がなければならない仕組みを作り上げていますので、現代の社会システムでは、仕事を求める全ての人々が必ず仕事が得られる状態を達成することを目指しています。この仕事をしたい人と提供できる仕事の量のバランスを取るための方法を経済学という学問で研究されてきました。また、有限な資源を如何に効率よく平等に配分するかも経済学のテーマになっています。

(経済学の概要)
・経済学=資源配分問題の探求
・需要と供給の如何にしてバランスをとるか。「需要と供給の均衡をとること」
・完全雇用を産む仕組み

経済の基本は、需要と供給のバランスを取ろうとすること。そのための活動。十分な需要(有効需要)があれば、供給の必要性が増すので、人々の仕事が増える(完全雇用)。経済学は、有効需要が増え仕事の量が十分な数を満たすことを目指している(非自発的失業を産まない状態)。

経済学で説く経済の仕組み
1.実物経済の世界
①ミクロ経済学=価格の役割の研究
経済では生産物が売れ残り無く品不足もなく最適に配分されると私達の暮らしが良くなっていると判断する。需要と供給のバランスのこと。今までは通貨がその役割をしたと考えられている。品不足になれば価格が上がり需要を抑え、過剰生産になれば価格が下がり需要を産むという感じ。
②マクロ経済学=社会全体の経済量を見る研究
需要と供給の如何にしてバランスをとり需要と供給の均衡状態を創ることを目指す。
完全雇用と価格の安定が目的

2.金融経済の世界
マネーサプライとデリバティブの世界
①実物経済に対しお金を供給する仕組み
②お金がお金を生むマネーゲームの存在

☆上記を成し遂げる為に色んな理屈(経済の学問)が誕生しました。

古典派の経済学:
「供給は需要を生む」と要約される理論。放っておいても需給はやがて必ず一致し、バランスが取れると考える。その間に貨幣が立って価格を柔軟に変動させることで、バランスを取っている。
古典派は、家計と企業が合理的に行動することを前提に、民間にまかせておけば、市場メカニズムの働きにより、望ましい経済(最適な均衡取引量)が実現すると考えています。市場は自由にしておけば価格の調整機能が働いて全て巧く行くという結論です。
※古典派経済学の始祖とも呼ばれるアダム・スミスによって創始され、18 世紀末から19 世紀後半にかけてイギリスで広まった自由主義経済学の学派です。

ケインズ:
マクロ経済を創った。望ましい経済(最適な均衡取引量)を実現するには、自由に任せておくのではなく、政府による経済政策が必要であると主張しています。

マルクス:
資本主義には、現実は好景気と不景気の繰り返しが起きる様な矛盾が内在している。だから共産主義でなければならないと結論。

共産主義では、財産の一部または全部を共同所有することで平等な社会の実現を目指しておりました。共有化する財産の所有形態に関しては、様々な議論、考え方がありました。

■お金を物事の基準とする現代社会の根本的な問題
問題①
お金による仕事の価値の偏り。全ての価値をお金に換算して価値判断をするので、お金になるものに人は集まり、ならないものを蔑ろにする。

問題②
常に完全雇用は成し遂げられるのだろうか?
現代社会は、「全ての人々が生産性をもって働くことをが当たり前である」として社会構造を組み立てている。
であるから、現代社会は、奴隷化促進システムといえます。

問題③
人は自分の価値を感じようとする方向へ動いてゆくという傾向がある。これが競争原理が成り立たせている人間の性(さが)なのかもしれません。

一般的に云われる共産主義の問題点は、
・人々は努力しなくなる。
・競争原理を捨てたためにものの供給が追いつかず、物質的な豊かさが伴わない。
・自分と他との差別化を求めて、特権階級が生まれ、特権者に物質的な富が集中した。
などがあります。

これらは、共産主義が、人が「自分自身の存在意義」を感じるための根幹となる要素をシステムから排除したために起こったといえます。システムは、それら根幹を排除し、代わりに、表面的な、財産や資産の共有化のみを導入しているのでより機能しなくなっているのでしょう。

お金に価値を見いださない社会は、ある部分で共産主義と同じだと混同されることもあるのですが、これら欠落している部分があるのと無いのでは、全く違うシステムであると言えます。

次のページ